るみの御朱印帳

お寺、仏像、まちめぐりを記憶にとどめるために。

<展覧会記録 京都・醍醐寺展> 

東京ミッドタウン内のサントリー美術館で11月11日まで開催されました。

その後 九州国立博物館でも(2019年1月29日(火)~3月24日(日))。


醍醐寺聖宝しょうぼうというお坊さんが874年(貞観16年)創建したお寺です。

展覧会の テーマは「真言密教の宇宙」。 

 

◇仏像の名品に出会う

  • 木造如意輪観音座像(重要文化財
    パンフレットにも使用されている像で、会場入って一番はじめに展示されています。この仏さま、腕は6本あります。それぞれ違う動きをしていますが、全体としてバランスが取れていて、どれも指先に至るまで美しい緊張感があります。
    胸の前、右手で捧げ持つのは願いごとを何でもかなえてくれるという「如意宝珠」、左手の人差し指の上には悪や煩悩を打ち砕くという「法輪」を載せています。眠っているような柔らかな優しい表情が印象的でした。

  • 快慶作 不動明王座像(1203年(建仁3))
    「仏像大使」 いとうせいこうさんとみうらじゅんさんのイヤホン解説が面白かった!
    曰く「不動明王でも快慶が造るとはんなりとしてる」
    確かに表情などコワいんだけど、バランスの取れた体躯や整って流れる衣の筋などとても美しかった。
    仏像大使さん方によると、不動さんは少しナナメを向いているのが常だそうですがこの像は首の向き方がやや穏やか。それによって視線は左手に持つ羂索(人々を救うロープのようなもの)に集まるのだとか。
    羂索は黒と黄色でまるで工事現場のロープです。なぜこんな色……?

  • 五大明王像(10世紀)
    顔、それも目が特徴的です。眼球が外に飛び出すように大きく盛り上がっています。「明王」 はどれも憤怒(怒った)の表情で仏教の教えに従わない者たちを懲らしめる役割を持っているので、超人的な目力(めぢから)を強調したかったのでしょうか?でもあまりに強調しすぎてちょっとコミカル。

    そして、座っている不動明王の除いた4体は足を踏み込むポーズなど今にも動き出しそうですが、その手足は仏像っぽくないというか、すらりとしてファッション店のマネキンのようです。
    ちょっと笑える表情と今風のプロポーションがフシギな仏さまたちでした。

 

醍醐寺の「入門ガイド」としての展覧会

醍醐寺はその伽藍、寺宝の数でもとても大きなお寺。

真言密教のうちでも天皇や貴族、時の権力者への修法(密教での加持祈祷)を担ってきた寺院で、仏像仏画のほか、修法の方法や仏像仏画の原図をまとめた数多くの文書が残っています。
それら文書は国宝に指定され、国宝の数は全部で69000点もあります。

近世に入ると、豊臣秀吉が花見を開いたことが有名で長谷川等伯一門の障壁画も見事なものがあります。
醍醐寺のガイドブックを眺めているような気分で展覧会を巡っていました。

春の桜だけではない、見どころ満載のお寺です。